1996年アメリカ大陸バス横断旅行記の続きその15です!
第1回はこちら
ホワイトサンズ国立公園へ
朝7:30。グレイハウンドバスは時間通りにエルパソに到着した。
京産大の仲間くん、新潟大の森内くんとともに3人で行動中である。
「ホワイトサンズ国立公園に行ってみたいんだけど、どう?」と森内くん。
地球の歩き方で調べてみると、名前の通り、真っ白な砂丘があるらしい。
「グレイラインツアーで、45ドルで行けるんだって」とのこと。
自由な旅である。僕はもちろん、仲間くんも賛成。
森内くんがツアー会社へ電話で問い合わせてくれた。
しかし……
「ダメだ。4人いないと行ってくれないらしい」と残念そうな森内くん。
「3人なら1人60ドルだって……」
「ちょっと高いかなー? レンタカーはどうなの? 俺、国際免許持ってるよ」と仲間くんが言う。
これは願ってもない展開。
というわけで、レンタカーを借りる作戦に変更した。
観光案内所に行き、手配を頼むと20分後にピックアップに来てくれるそう。しかし、それは大ウソで実際に迎えに来たのは1時間後だった。大陸タイムである。
エルパソの観光案内所。
ピックアップを待つ森内くんと仲間くん。
ピックアップの車で事務所に連れて行かれ、交渉して決まった車は青の三菱ギャラン。なかなかいい車だ。
仲間くんの運転でホワイトサンズへと向かう。地図上だと近いが、距離は200kmほどある。しかし、120km/hは楽勝で出るのでそれほど時間はかからない。途中ケンタッキーによりつつも、すぐにホワイトサンズ国立公園に到着した。
とにかく真っ直ぐな道が続く。
まずは現地の観光案内所へ。
ここでとても面白い物を発見した。メキシカンジャンピングビーンといって、ビーンがたまにバチッバチッと乾いた音を立てて激しく動くのだ。面白いので1個買ってしまった。
このビーンは旅の間ずっと動いていたが、しばらくすると無反応に。あれはなんだったんだろう、としばらくは謎のままだったが、ある日ふと思い出したようにググってみたら、中に蛾の幼虫が入っていたらしい……。
ともあれ、ホワイトサンズ国立公園内へ。
最初は大したことないかな? と思ったけど、奥の方まで進むと辺り一面真っ白な世界に。大雪が降ったかのような風景だ。さすがアメリカ。スケールが違う。
海岸でもないのに真っ白い砂。
ハンドスプリングの着地に失敗。
メキシコへ入国
白い砂で十分に遊んだあとは、再びエルパソへ戻る。帰りの車では爆睡してしまった。仲間くん、運転ありがとう。
レンタカーを返却したあとは、歩いてメキシコへ。
さらっと書いてしまったが、エルパソは国境の街なのである。わずか、25セントでメキシコに入国できるのだ。
パスポート審査もなく(大丈夫か?)、あっさりとメキシコへ。
こちらは、シウダー・フアレスという街である。麻薬密売組織が暗躍し、世界でトップクラスに治安が悪いらしい。
メキシコはアメリカとは別世界だった。人々が活気に溢れ、生活の匂いを感じさせる。
道をあることにメキシコ人が声をかけてくる。
日本人と見るや、日本語である。
「こんにちは!」
「ありがとう!」
「ま○こ!」
ほとんどがこの3種類。これは笑った。
時間はそれほどないので、怪しげなお土産店へ入った。
物色していると「コイビート、オミヤーゲ」と馴れ馴れしく話しかけてくる。
僕はコットンの服が気になったので、お店の親父と値段交渉をする。
「35ドルだ」と親父。ドルで買えるらしい。
「いや、高い」と首を振ると
「25ドルならどうだ?」
と一気に下がった。それでも高いと言うと
「いくらなら買うんだ?」とのこと。
「10ドル」というと
親父はふーっと悲しそうな顔をして、「20ドル」と言った。
「12ドル」
「18ドルだ」
「12ドル!」
「OK!」
というわけで、12ドルで交渉が成立した。別の店では8ドルのコインを4ドルにしてもらう。
もちろん、これらの値段でも高いのかもしれないが、それはそれでよい。メキシコは面白かった。
しかし、ここで大変なことに気がついた。カメラがない。恐らくレンタカーに忘れてきてしまったのだろう。レンタカー屋に電話するが、わからないとのこと。うっかりしてしまった。
メキシコには結局1時間ほどしか滞在せず、アメリカに戻った。
アメリカへの入国は行きと違って遥かに厳しく、たくさんのメキシコ人が強制送還されていた。その中で、日本語のパスポートは強くて助かる。
エルパソには宿泊予定がないので、バスディーポヘ。
僕の次の目的地はラスベガスである。バスの中はサンポールの匂いがしてとても臭い。しかも、このバスの中に「地球の歩き方」を忘れてしまうという失態を犯してしまうのであった……。
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