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トヨタの内幕を暴露? 梶山三郎「トヨトミの野望」

小説の中にはノンフィクションではないが、実際の出来事や事件をモデルにしたものがある。
先日紹介した「地面師たち」もその1つだろう。

 

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今回紹介する「トヨトミの野望」はトヨタの上層部がモデル。知られざるトヨタの内幕を小説の体で暴露しているのだ。

簡単に解説をすると、トヨトミの野望は2016年に発売された小説で、当時は話題になったらしい。自分は全然知らなかった。アンテナの低さよ。
作者は謎の覆面小説家。作中のエピソードがどれくらい真実かは謎であるが、後書きによると「99%真実」という人がいれば、「半分くらい」という人もいるらしい。いずれにしても、表には出てこないようなエピソードも書かれているのだろう。
実際、最初のエピソードからしてすごいが、これが真実ならば驚くべきことだ。

ストーリーは、創業者一族ではない武田剛平が社長になってから、創業者一族の豊臣統一が社長になるまでの時代を扱っている。
武田剛平のモデルは後に経団連会長も務めた奥田碩。豊臣統一は現社長の豊田章男。これはほぼ確実。
ほかのモデルの一覧は、ここを参考にしてほしい。

で、感想であるが、武田剛平を英雄として扱っていて読んでいて爽快感がある。武田はマニラに左遷されて7年間も不遇の時代を過ごすが、復活して社長まで上り詰めて豪腕を発揮する。そんなサクセスストーリーがたまらない。武田の味方となる人物も破天荒な人物が多くて魅力的だ。

一方、創業者一家についての評価は高くなく、豊臣統一は徹底的に無能として扱っている。ストーリーとしては巨大権力を持つ創業一家vs正義という感じで面白いが、実際はどうなのか? 個人的には豊田章男社長はかなり有能だと思っているので、違和感があるが。アメリカでのロビー活動も絶賛しているけど、大金を注ぎ込んだほどの効果があったのか。

というわけで、視点はかなり偏っていると思うけど面白い小説だった。
続編も発売されているので、文庫化されたら読んでみたい。

 

トヨトミの野望 (小学館文庫)
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