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日本リバーベンチャー選手権(リバベン)の話 後半

ラフティングの大会であるリバベンに参加した話の後半です。
前半はこちら

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練習中、激流の中に放り出される

1995年は事故があって中止となったリバベンだが、1996年の大会は無事に開催されることになった。
安全面の強化のため、川の基礎的な知識を参加者全員で共有し、ライフジャケットも一定以上の浮力が必須と変更されたりした。パドルも以前のような手作り品ではない。

我らがアドベンチャークラブも例年通り4艇出すことになり、自分のチームは僕、同学年のロッテ山本、後輩の松本、ケンケン中田の4人。例年通りGWの多摩川上流の練習を経て、水上での毎週末の練習に励むことになった。

が、チームに問題は多かった。
原因は上級生である自分と山本である。

練習中、ロッテ山本と意見が合わないことが多く、ボートの上で言い合いをしてしまうのだ。後輩2人はかなり迷惑だったであろう。今思えば、どちらかをリーダーにして、片方は基本的に従うことにすればよいのだが、結局最後までしなかった。ロッテ山本とは別に普段仲が悪いわけではないのだが、謎だ。

そんなギクシャクしたまま迎えた第3週目の最終練習。
この日は利根川の水量がかなり多く、危険な状態だった。
うなりを上げる激流に少しビビっていたが、いつもどおり練習をスタートする。

難所の1つ、諏訪峡にあるクランク(今は違う名前だと思う。「ビッグストッパー」か「フリッパー」?)と呼ばれる場所に入ったときだった。

想定よりも少し左寄りのコースに進んでしまったこともあり、ボートは波に乗り上げ、驚くほど簡単にひっくり返った。

え? 落ちた?
水の中にいる。
泡を多く含む冷たい激流の中だ。

長い時間をかけて(ライフジャケットのおかげで実際は一瞬だろうが)水面に顔が出たとき、自分はすでに単独で流されていた。

危険なポイントなので川岸にはレスキューも多く待機していたが、スローロープ(レスキュー用の投げるロープ)はすでに他のメンバー用に全部投げられていて、自分は捕まえることができない。
自力で泳いで川岸に行けるというレベルではなく、為す術もなく激流を流されていく。

それでも僕の頭は意外なほど冷静で、無抵抗で流されつつも「あれ? もしかしたら死ぬ?」と思いつつも、その先のメガウォッシュ(当時の呼び方は忘れた)まで行ってしまうとマジでやばいかも、と考えていた。

そのとき、水流に巻き込まれ、水中に潜ってしまう。
潜っていた瞬間はわずかだと思うが、これは怖かった。再び水面に出ると、目の前にスローロープが。僕は必死な思いで捕まり、なんとか助かった。
助けてくれたのは他大学の先輩である川村さんという方で、「すんごい潜っていたね~(笑)」と明るく言ってきた。今でも感謝している。

僕以外のメンバーはすぐに救出されたようで、全員無事。事なきを得たが、川の怖さを思い知ったのだった。

最初で最後のリバベンの結果は……

翌週、リバベンの大会がやってきた。
川の怖さは拭いきれずにいたが、これが最後だ。

当時のリバベンのシステムは1日目が予選、2日は予選の結果によって中級と上級にわかれるというものだった(はず)。

この大会の予選から特定のポール間を通過すれば加点というシステムが採用された。
僕らのチームは4個中3個のポール間を通過することができ、タイムもそこそこでなんとか上級に進むことができた。

そして翌日。
この日も水量は多く、川は唸りを上げている。
自分たちのチームは最後の方のスタートで、ドキドキしながら待っていた。
しかし、なかなかスタートの番が回ってこない。

どうやらフリップ(転覆)してしまったボートが多く、対応に追われているようだ。
そのため、予定からだいぶ遅れて自分達の番が回ってきた。

序盤は問題なく進み、難所の諏訪峡へ。
先週転覆したクランクが迫る。

なんとかクリア!

しかし、ボート内に水が大量に入ってしまった。
僕らのボートRV2000は自動排水ではないので、バケツで水を出さないとスピードが大幅に落ちてしまう。山本が必死で水をかき出し、最後のビッグウォッシュもクリア。ゴールまでは最後の力を振り絞って漕ぐ。無事完走!

ゴールで待つスタッフたち、そしてチームメンバーと喜びを分かち合った瞬間は最高だった。
そして、もう恐怖の川を下らなくてもいい、という安堵もあった。

結果は12位。
アドベンチャークラブ内では最上位だったし、不利なRV2000での記録だったので個人的には満足だった。もともと優勝を狙うレベルでもなかったし。

というわけで、僕のリバベンは終了した。

 

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閉会式(?)の様子。

 

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記念撮影。

リバベンの後日談、ラフティングをしたいなら

後日談が2つある。

1つは同じチームの後輩2人が2人とも若くして亡くなってしまったこと(事故とかではなくそれぞれ病死)。
彼らは前年の夏に西表島縦走を一緒に行ったメンバーでもある。非常に残念だ。練習中に迷惑をかけたことを侘び、ご冥福をお祈りしたい。

もう1つは同じリバベンに参加した同期と後輩の一部がラフティングガイドになったこと。
彼らは現役でガイドやっているので、ラフティングをやってみたい、と思ったならば「カッパクラブ」のツアーに参加してほしい。現在の社長は後輩だし、そのほかのガイドにも同級生や後輩がいる。
僕も一度客として参加させてもらったが、非常に洗練されていて楽しかった。価格以上の満足は得られるだろう。

 

www.kappa-club.com


以上、リバベンの思い出でした。