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カンボジアの拘置所からのスカっと復讐劇「P.I.P. ―プリズナー・イン・プノンペン―(沢井鯨)」

Kindleで「P.I.P. ―プリズナー・イン・プノンペン―」を読んだ。作者は沢井鯨さん。カンボジアの拘置所を舞台にしており、本人の体験を基にしているらしい。
2003年の作品で結構話題になったそうだが、全然知らなかった。コミック化に加え、「プリズナー」というタイトルで玉山鉄二主演でドラマ化もされているらしい。

舞台は1997年。主人公、イザワは夏休みを利用して中学教師の職を辞し、タイに向かう。しかし、飛行機の中で出会った元ホスト、譲原とともにカンボジアのプノンペンへと足を運ぶこととなる。日本に一度戻るイザワだが、プノンペンで出会った少女タオのことが頭から離れず、再び譲原の誘いに応えてプノンペンに舞い戻る。だが、そこで彼が遭遇するのは、拘置所送りという運命だった。

小説の舞台となるカンボジアは、ポルポト派の大虐殺から20年ほどしか経過していない。汚職が蔓延し、お金さえあれば何でも可能という腐敗した国として描かれている。また、ポルポト時代の悲惨なエピソードも織り交ぜられ、その内容には言葉を失うばかり。「ゲームの王国」でも同様のテーマが取り上げられていたが、それに比べても衝撃は大きかった。物語はイザワの復讐とタオとの結末へと向かい、その過程でのご都合主義的な展開もあったが、スッキリとしたものになっている。全体として、ノワールな色合いの物語として非常に面白い。

コミック版はちょっと見てみたけど絵柄があわわなかった。ドラマも観てみたいなー。