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八重山を舞台にしたトンデモ小説「サマータイム(川上宏)」

先日古本屋で買った小説「サマータイム(川上宏)」を読んだ。

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1998年当時の沖縄離島情報の編集長が書いた小説ということで、当時からちょっと気になっていた。

 

その前に、沖縄離島情報について説明したい。
沖縄離島情報は1980年発刊で現在も続くムック本。大手ガイドブックでは触れないような民宿やゲストハウスなどの情報が充実していて、インターネットの情報が充実していない90年代くらいまでは貴重な離島情報として、バックパッカーの間で人気だった。
当時はA5サイズのコンパクトのものだったが、B5サイズと混在する時期があり、現在はB5サイズのみとなっている。

自分も1994年から2000年くらいまでは買っていた気がする。1995年版あたりは、それこそ隅から隅まで読み込んだはずだ。コンパクトサイズが好きだった。

「サマータイム」は1998年発刊で、当時の沖縄離島情報に広告が出ていたのでよく覚えている。

というわけで、サマータイムの内容を紹介するが、これがある意味すごい小説だった!

ストーリーは、編集長の万歳を中心とする沖縄離島情報(そのまんま!)の編集グループが那覇からフェリーで石垣島へ行き、石垣島のほか竹富島、西表島などを取材で回るというもの。フェリーの中で、女子大生2人組、32歳の女性一人旅、若い男性の下河内などと知り合いになり、取材先(旅先)でも関わってく。

宿泊するホテルは、現実に存在するもので(現存しないものもあるが)、おそらくモデルもいるのだろう。

で、とくに事件などは起きずに「沖縄綺麗だねー」って感じで名所を紹介しつつ話は進むが、なぜか女子大生の2人組の一人が、万歳を好きになる。さらには、女性一人旅の玲子も万歳のことが気になるという感じなるのだ。
一応復習すると、作者は沖縄離島情報の編集長。万歳は作中の編集長。つまり、作者を投影した人物であるだろう。それがモテモテという設定なのである!

完全にネタバレだが終わり方もすごい。
万歳も玲子のことが気になるという感じだったが、女子大生に告白され万歳が呆然とし、それを玲子が眺めているというシーンで終わる。

え? どういうこと? これで終わり?
一体何を読まされていたんだろうか? 作者の川上さんの願望?

ちなみにこの本の副題は「沖縄・離島がスタートラインだった若者たち。終わらない夏。」
これも謎。普通に旅行しているだけじゃない?

いやー、よく出版したな~この小説。作者が編集長だったから止める人がいなかったのかな? 当時の編集部員がどう読んでいたのか気になるよ。

というわけで、トンデモ小説の紹介でした。