コンピュータ将棋の最高峰の戦い・第5回将棋電王トーナメントは「平成将棋合戦ぽんぽこ」の優勝で終わった。運営の皆様、お疲れさまでした。
未視聴な方は以下からどうぞ
優勝はやねうら王ライブラリ採用の平成将棋合戦ぽんぽこ!
決勝戦は準決勝でPonanzaを破った平成将棋合戦ぽんぽこと新鋭のshotgunの戦い。
コンピュータ将棋ならではの並列3番勝負(!)を制したのは、3勝全勝の平成将棋合戦ぽんぽこの手に。晴れて新電王・平成将棋合戦ぽんぽこが誕生した。
作者は世界コンピュータ将棋選手権でも活躍した「蒼天幻想ナイツ・オブ・タヌキ」の開発陣のうちの2人。
おめでとうございます!
3位Ponanzaは引退表明
準決勝で敗れたものの、3位決定戦に勝利して存在感は十分に発揮したPonanzaだが、制作者の山本氏より引退が表明された。ここ数年のコンピュータ将棋界をリードしてきたソフトだけに引退は寂しい。
今後はソースコードの公開やロジックなどを公開してほしいところだが、難しいだろうか。
有料でも構わないので、エンジンの公開をしてほしい。
……とはいえ、GUIの出来が悪すぎて回収騒ぎまでなったPonaXの件があるだけに難しいかもしれないが。
準々決勝でトラブル。ソフトの独自性の問題へ発展
今大会最大の事件は準々決勝のshotgun vs Yorkieで起こった。
最終盤、shotgun勝勢ながら、256手が近い局面で、Yorkieが粘り、257手目で詰み。
大会ルールでは256手を超えると引き分け、になるはずではあるが、立会人の勝俣六段の裁定で、Yorkieに合法手がないということで、shotgunの勝ちと判定に。
その後休憩に入り、ニコ生のコメントも荒れ気味になるが、ルール的には立会人裁定で問題ないらしい。
(将棋の内容的には完全にshotgunの勝ち)
休憩明け、勝俣立会人から、Yorkie作者からのコメントとして、大会までに盛り込もうとした機能が間に合わず、思考部の独自性が間に合わなかったということで、辞退ということに。
(のちの議論の発言で裁定負けには納得していること)
256手問題とは別次元の話に進んでしまう。
ここでぽんぽこの作者から辞退したYorkie作者へ異議。
「CSAライブラリとのバッファ部分は書かれましたよね? それは十分な工夫だと思うのですが、ご本人はいかが思うのでしょうか?」
Yorkie作者は、書いたがその部分は思考部ではないと判断したと返答
その後も、ぽんぽこの作者は高速化という独自性はあるのではないかと提言。
以下、大会の進行は完全に止まり、運営(MobileHackerzのMIROさん?)、他の作者、将棋ライターのmtmtさんも混ざって議論に。運営側もあえて止めることはなく、発言者にマイクを渡すというアシスト(笑)。
生中継ならではのイレギュラーな場面なので、興味がある人はこの部分だけでも視聴してほしい。思考部の独自性の議論も面白い(タイムシフトだと05:13:50ごろから)
それにしてもぽんぽこの作者の人、大人しいイメージだっけど、意外だった。優勝したから当然とはいえ、今大会のMVPは間違いなく、この人だろう。
解説・西尾明六段は素晴らしかった
最後に書いておきたいのは、解説の西尾明六段の素晴らしさ。将棋の読みの解説はもちろん、ソフトの深い知識、的確な質問、場の回しなど、完璧に近かった。来年もぜひ、解説をしてほしい。閉会式の鈴木大介九段のフォローもよかった。
というわけで、来年も楽しみ。
参加者の皆さんがフトを公開するのも待ってます!