那覇空港(というかほとんどの空港)は、風向きによって離陸・着陸の方向が変わる。
那覇空港の場合は、糸満方面へ向かう南向きの離陸と、北谷方面に向かう北向きの離陸がある。
で、南向きの場合は問題ない。離陸後ぐいーんと上昇しつつ北向きに転回し、一気に巡行高度まで上がってくれるからだ。
一方で、北向きの場合は、一定の高さまで上昇後、しばらく上昇をやめてしまう。これが怖いのだ。今回はその話をしたい。
飛行機が落ちるのでは? という錯覚
10年以上まえ、沖縄の魅力にハマって毎年のように沖縄に来ていた頃。
東京に戻るためにANAの飛行機を予約したが、あいにく良い座席が取れず、真ん中のエリアのさらに中央の席に座ることになった。
離陸は問題なく成功。
が、離陸後少しすると、グオーンと鳴っていたエンジン音がキューンと静かになり、勢いを停止。しかも、目の前のスクリーンには飛行機前部のカメラ映像が流されていたが、まるで海に向かって落ちているような感覚となる場面が映されていた。実際にはカメラが下向きなだけだったが。
僕は「ストールするかも!」と恐怖でいっぱいになり、「マジか……」と呟いてしまう。
しかし、周りの乗客は平然としていた。
飛行機はその後、高度を上げて安定飛行したものの、到着するまで僕はずっと震えており、すっかり飛行機嫌いになってしまったのだ。
それからは沖縄に行くときにもなるべく船(48時間以上かかる!)を使ったり、飛行機に乗る場合はお酒の力を使って酔っぱらって乗るようにしていた。
かつて存在した嘉手納ラプコン
那覇空港から低空飛行する原因は嘉手納基地にある。
2010年までは、「嘉手納ラプコン」と呼ばれる米軍の空域管制により、高度300mでの低空飛行を10kmに渡って行わなければならなかったのだ。
当然、離陸だけではなく着陸時にも存在し、海上スレスレ(実際は違うが)をしばらく飛んでから着陸することになる。
現在も一気に上昇しないので知らないと怖い
現在、嘉手納ラプコンは返還され、低空飛行が長く続くことはないが、離陸後少し上昇したあとは高度を上げない時間がわずかにある。
具体的には以下の動画を見てほしい。
上昇を途中で止めてしまうので、知らないと本当に怖い。自分も何度か乗ることで現在は慣れたが、それまでは「南向きの離陸がいいなー」と心から思っていたのだ。
今後沖縄に旅行に行くことがあるときは、「北向きのときは上昇がいったん止まる」ということを覚えておこう。知識として知っていれば、まったく怖くないからだ。
また那覇空港自体も安全な空港で、大きな事故は起きていないので安心して利用してほしい。