Netflixで「川っぺりムコリッタ」を視聴。主演は松山ケンイチ。原作・脚本・監督は「かもめ食堂」「めがね」の荻上直子。
物語の舞台は、海辺が近いのどかな田舎町。刑務所から出所した山田は、イカ加工工場で働き始め、紹介された古アパート「ハイツムコリッタ」で新しい生活を始める。ムコリッタには、図々しいが憎めない性格の島田、シングルマザーである大家の南、墓石の訪問販売をしている父子などが住んでおり、みな貧しいながらも生活を送っている。ある日、市役所から、山田に父親が亡くなったため遺品を取りに来てほしいという連絡が入る……。
「かもめ食堂」の監督作品とは知らずに見たが、なるほど、「かもめ食堂」に通じるゆったりとした雰囲気がある。本作は「日本の田舎の夏」の表現が見事。海辺、川辺、古アパート、蝉の声、どれも素晴らしい。特に食事のシーンは心に残る。嫌な人間がほとんど出てこないのも好印象。松山ケンイチは、暗く影のある人物を演じるのが相変わらず上手い。ムロツヨシも、嫌味のない隣人役を自然に演じている。
テーマ自体は決して軽いものではないが、肩の力を抜いて楽しめるので、おすすめだ。
