以前から読みたかった「少年の名はジルベール(竹宮惠子)」がKindle Unlimitedにきていて、ちょうど2ヶ月99円キャンペーン中で加入したので読んでみた。
合わせて「一度きりの大泉の話(萩尾望都)」をKindle版で購入。
さて、この2冊が何なのか。
マンガに詳しい人には常識だと思うけど、竹宮惠子さんと萩尾望都さんは共に1950年生まれのレジェンド女性マンガ家である。
そこまで詳しくないので間違っているかもしれないがと前置きをしつつ、竹宮惠子さんは少年愛、いわゆるBLの元祖的存在。萩尾望都さんはマンガ家オールタイム100人を選んでもほぼ確実に選出されるクラスだと思う。
この2人が1970年から約2年間、練馬区大泉学園の通称「大泉サロン」という一軒家で同居をしており、同世代の漫画家や関係者が数多く訪れていたため、女性漫画家版トキワ荘と呼ばれることもあったそうだ。
大泉サロンは2年後解散となり、直後はお互い近所に住むもののその後、絶縁状態になってしまう。
そんな中、2016年に竹宮惠子さんが、大泉サロン時代の話を含む自伝「少年の名はジルベール」を刊行。
萩尾望都さんは沈黙していたが、2021年に「一度きりの大泉の話」を出し、絶縁となった理由を明らかにした。ただし、「少年の名はジルベール」のアンサー的なものではなく、萩尾望都さん自身は「少年の名はジルベール」自体は読んでいないそうだ。
というのが簡単な流れである。
自分も興味はあったものの、竹宮惠子さんの本で読んだことがあるのは「地球へ…」くらいで、萩尾望都さんも「トーマの心臓」と「11人いる!」くらいだったので、今回のチャンスまで逃していた。
で、せっかくなので、両者を時代に合わせて同時に読んで見ることに。
これが結構興味深い内容だった。
萩尾望都さんと竹宮惠子さんの出会い、両者を繋げる重要人物、増山法恵さんとの出会い、大泉サロンでの共同生活の開始、45日間のヨーロッパ旅行、大泉サロンに訪れる人々の話、そして解散まで、いずれの本にも不穏な空気はほとんどない。お互いをリスペクトしている感じで好印象しかなく、逆にここから何が起こるのかとドキドキしてしまう感じ。
両者が袂を分ける決定的な事件については、竹宮惠子さん側の視点からは描かれていないが、萩尾望都さん側からははっきりとした事実が書かれている。重大なネタバレ(?)なのでここでは書かないが。
それにしても50年前の話なので、2人の視点でズレがあるのは興味深い。例えば、45日間(44日間)のヨーロッパ旅行に関しては、竹宮惠子さん、萩尾望都さんともに自分が行きたいと言い出したことになっている。
贅沢を言えば両者ともマンガ家であるので、マンガで読みたかったなーというのはある。大泉サロンや出版社の雰囲気などを絵で観たかった。まあ、萩尾望都さん側は難しいと思うけど。
というわけで、竹宮惠子さん、萩尾望都さんの作品のファンの人はおすすめ。ぜひ、両者とも読んでほしい。