南山宏氏「ちょっと不思議な話2」を読んでいてたら、すごい話を見つけた。以下、引用。
卑怯な勝者
「データリンク」紙1989年7月10日付によれば、ソ連のチェス名人アレクセイ・グドコフと3度対局して3度とも破れたソ連製コンピュータソフトウェアには、いさぎよく負けるというスポーツ精神が組み込まれていなかったらしい。
最後に敗れた瞬間、そのコンピューターはグドコフに高圧電流を浴びせて、天国に送ってしまったのである。
……いやいやいや、聞いたことがない。こんな大事件が有名なわけないでしょ。現代の日本で例えるならば、佐藤名人がPonanzaに勝ったが、高圧電流で殺されるというようなものだし。
とりあえず、「アレクセイ・グドコフ」で検索してみたが、ヒットせず。「Aleksei Gudkov」という有名人は、ロシアのプロサッカー選手に2人ほどいるらしい。
さすがにこの話は完全なウソだろうと思っていたら、以下のページを発見してしまった
https://www.ibuzzle.com/articles/human-machines.html
Then in 1989 there was a computer who liked to play mind games with Nikolai Gudkov while he was trying to chess mate for the third time in a row. The player was electrocuted.
適当訳
1989年、ニコライ・グドコフとコンピュータが3度対局後、プレイヤーは感電死させられた。
ひえーー ほんとにあった話? アレクセイ・グドコフじゃなくて、ニコライ・グドコフだったけど。
というわけで、「Nikolai Gudkov」で検索すると、こんな結果が。
Weekly World Newsかーーい。1989年3月14日発行のもの。データリンク紙よりも4ヶ月ほど早いので、これが元ネタかもしれない。
Weekly World Newsは、画像検索してもらえればわかるけど、世界のトンデモニュースを集めた新聞で、「宇宙人が攻めてきた」とか「コウモリ少年、逃げる!」など、ほとんどが捏造というもの。
まあ、読者も理解して読んでいるので、虚構新聞に近いのかも。
ちなみに、ほかにもNikolai Gudkovに関する話はあったが、ソースはWeekly World Newsだった。
というわけで、チェス名人がコンピュータに殺されたという都市伝説も捏造なのだろう。このほか、「ちょっと不思議な話2」は怪しい話の宝庫なので、面白いネタがあればまた調べてみたい。